購入のきっかけ
細野祐二氏の書いたニュース記事を見て興味をもち、その著作を購入した本。
内容・感想
著者である細野祐二氏が携わってきた活動・郵便不正事件と大阪地検特捜部主任検事証拠改ざん事件、企業会計の関係する裁判や日産ゴーン事件が 1 : 2.5 : 1 の比率で記述されています。
自らも経済事件の被告人となった経験から、弁護側・検察側双方の戦術や現在司法の問題点を生々しく記述しており、メディアでは十分に報じられない舞台裏を知ることができる一冊です。
また著者の指摘する歪な司法運用が、私たち日本国民の以下のような意識に由来していることも鋭く指摘している。
すなわち、現行司法実務では、「疑わしきは罰せず」の司法原則は生きていないことになるが、これは、現在の日本の国民意識が必ずしも「疑わしきは罰せず」とはなっていないことに起因する。
『会計と犯罪』、細野祐二著、岩波書店、2019年7月16日 第3刷 P.124
(中略)
国民世論は、「たった一人の真犯人も逃すことを許さず、これと同時に、たった一人の無辜も罰してはいけない」などと、とてつもなく難易度の高い司法を求めているのである。
オススメ度
★★★★★(5/5点)
司法・会計の専門知識がなくても、メディア報道されていた内容の行間を振り返ることのできる一冊です。
後半で触れられている日産ゴーン事件は起訴進行中ではあるものの、著者の会計と司法に関する知見をもって、報道ではあまり注目されない事実を指摘しており、事件の背景を知ることができます。
日産ゴーン事件や経済事件に興味のある方には、新しい切り口を提供してくれる本だと思います。